初診前オリエンテーション検査・スクリーニング検査
当院では、初診前オリエンテーション時に、必要な血液検査をおこないます。
その後、周期に合わせて必要な基本検査をおこなっていきます。
1. 初診前オリエンテーションで行う検査(ご夫婦)
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感染症検査
不妊治療は、血液・精液・膣分泌液など、体液を扱う機会がとても多くなります。
もし何らかの感染症を保有していると、夫婦間やご家族の感染、さらに医療者への感染の危険性があります。
全ての患者様が安全に治療を進めるためにも、感染症を早期に発見するためにも、不妊治療を開始する前に確認させて頂きます。 -
風疹抗体検査
妊娠初期の女性が風疹にかかると、流産したり、白内障または緑内障・先天性心疾患・難聴・脳炎・骨の病気・網膜症などの異常を持った赤ちゃんが生まれる可能性があり、これを「先天性風疹症候群」といいます。
妊娠初期にかかるほど(1ヵ月で50%、2ヵ月で35%、3か月で18%、4ヵ月で8%程度)流産や先天性風疹症候群が起こる可能性が高く、妊娠20週までに徐々に可能性は低くなり、妊娠20週以降の感染ではほとんど起こらないといわれています。
2. 初診前オリエンテーションで行う検査(女性)
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抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査
女性は卵巣に一生分の卵子を持って産まれます。
卵巣は、卵子を作る場所ではなく、卵子を保存している場所なのです。
抗ミュラー管ホルモンとは、卵子への発育過程にある前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。
このホルモンの数値を測定することで、卵巣に残っている卵子の数(卵巣予備能)を推測することができます。
一般的には卵子の数は年齢を重ねるごとに減っていきますが、そもそも卵子の数には個人差があるので、血液検査を行い、妊娠計画や不妊治療の方針を検討します。 -
甲状腺検査
甲状腺は、代謝や成長を調節するホルモンを分泌する器官です。
甲状腺機能が低下すると、女性ホルモンの分泌にも影響を与え、不妊や、流産のリスクが高まる可能性があります。 -
その他の検査
生化学検査、糖尿病検査、貧血検査等、現在の健康状態を血液検査で調べます。
ビタミンD、亜鉛、銅等、着床環境や妊娠に重要な役割を狙っている物質の血液検査の数値が妊娠に適正か判断します。
3. 女性基本検査
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女性ホルモン検査
卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロン等、月経周期に合わせて、血液検査でホルモンバランスを調べます。
排卵の有無を確認したり、月経不順、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの症状や原因を調べたりするために行われます -
経腟超音波検査(エコー)
子宮や卵巣の状態を確認します。
子宮筋腫や卵巣腫瘍などの婦人科疾患かないかを確認します。
卵胞(卵子の入っている袋)の大きさで発育の程度を知ることができます。 -
クラミジア抗原検査
子宮の入り口の細い部分である子宮頸管に採取用の綿棒で粘膜をこすり、クラミジアの本体(クラミジア抗原)があるかどうかを調べる検査です。
クラミジアに感染すると、子宮頸部から子宮を通って卵管、さらに腹腔内へと感染が広がってしまいます。
感染すると卵管が狭くなったり閉塞したりすることがあり、不妊の原因になります。 -
子宮頸がん検査
妊娠を希望している女性に対して、1年に1回の子宮頸がん検診を推奨しています。
子宮頸がん検診は、各市町村から補助が受けられる場合があります。
4. 男性基本検査
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精液検査
精液の量や精子の数、運動性などを調べます。
当院では、精子運動解析システムにより、精子の数と運動量を解析しています -
男性ホルモン検査
テストステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)等、精子減少症や無精子症などの不妊症の原因検索を血液検査で行います。
卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)は下垂体分泌されるホルモンで、男性には精巣に作用します。